まず、このFX-SCSIという代物が何であるかから解説を付けておきたいと思う。一言で言えば「PC-FX本体をパソコンの外付けCD-ROMとして使えるようにするためのアダプタ」である。接続形式はSCSI、PC-FX本体には背面にある拡張スロットに装着することになる。その背面スロットに装着できるデバイスとしてはこれが唯一の存在なので、まだまだPC-FX本体を使い倒したい向きには必須のアイテムであろう。繰り返すが、実用性はもはや無いけど(笑

しかしSCSIと行っても侮る無かれ、なかなか面倒くさい動作環境を要求する代物であるため、繋げてほいと動くようには出来ていない。所有する５台のマシン全てにSCSIを搭載しているような私でも、入手から早２年ほど、これまで全く解説記事を書きたくとも書けなかった理由には訳がある。本解説ではその辺の特殊な規格の解説と実際の運用方法を調査できた限りで述べてみたいと思う。

まず本ボードの公式support対象となっている PC-9801-92 ボードを使用した場合の例について。使用マシンは PC9821V200M7C2 である。なお取説によれば SCSI専用スロットを搭載したマシンでの PC-9821A-E10 での動作も同等となっているので、その環境を所持している方は随時読み替えられたい。

MS-DOS、および Windows3.1 環境に置いては、取説にあるように NECCD.SYSを組み込み、かつ MSCDEX.EXE を動かせば何ら問題なく動作することが出来る。これは Windows95/98 における MS-DOS モードでも同等である。CD-ROM が装備されていないマシン、および低スペックのマシンでは充分な性能をもって使用することが可能であろうと思われる。と言うか、本来、その様なマシン用の物なのだが(笑

さて、問題は Windows95/98 環境について。そもそもこの PC-9801-92 は非PnPボードであり、Windowsから自動認識はしない。よって認識させるためにはハードウェアの追加から操作を行う必要がある。ところが、なぜか FX-SCSI を接続して起動した場合には、CD-ROM を認識しないだけではなく PC-9801-92 自体を正常に認識することが出来ず、コントロールパネルにはビックリマークが付く始末となる。

さて、そこで何とかしてみようと考えた。Windows に含まれている他の互換ボードのドライバではどうなのだろうかと。しかし結果は全滅。FX-SCSI を接続しない状態ならば正常に認識されるドライバであっても、FX-SCSI を接続した途端、正常認識が不可になってしまう。ネットで調べた情報によると FX-SCSI の Windows95 用のドライバなる物も一時期はNEC-HEからSupportとして配布されていたようなのだが...現在では入手不可なのでWindowsからまともに使う方法はあきらめることにする。

しかしWindows上から使う方法は他にない訳ではない。MS-DOSでの動作時と同じ要領でCONFIG.SYS に NECCD.SYS を組み込めば動作は可能である。しかしこの方法には多少の問題がある。ロングファイルネームが使えないとか（つまり8.3形式でしか使えない）システムのプロパティで怒られるとか、ハードウェアのチェックをしたら死ぬとか:-)

それでもなお使いたいという向きには頑張って使って頂きたいところだが、所詮、２倍速という今となっては実用たり得ないあり得ない速度であり、というか根本的に、PC-98自体が実用たり得ない訳ですけど...もごもご(^^;;;

でもよー、SCSIなら他の機種でも動くんじゃないの？ ええ、繋がることは繋がりそうです、DOS/V機とも。よほどのことがない限りは変換コネクタが必要でしょうけど...（一般的なDOS/V用のSCSIカードのコネクタとは合わない模様）

でもね、いろいろやってみたんだけど、未だに動かせてないんだな。Adaptecの2940でも29160でも1520でも... このFX-SCSIの動作環境として挙げられているカードから規格を推測するに、CPU転送モード、つまりはFIFOモードであれば動いて然るべきなので、少なくとも1520では動いて欲しいのですが...

しかもDOS/V機の場合は、一見、Windows上から正常認識したかのように見せかけては、実際にアクセスをするとOSごと固まったり、固まらなくてもメディアをちっとも認識しなかったり、挙動が訳分からなすぎます。普通の人ならこれ、FX-SCSIが壊れているという判断しかしないと思う:-)

でもネット上を見ると、DOS/V機でも動かせたという話があったりもするし（ノートPCらしい。動作詳細は不明）意外なところでさくっと動くのかも知れなかったりするので、近いうちにまた挑戦してみます。乞うご期待（笑