最近、目に見えて、PC-FX系サイトが減ってきている。正直なところ、新しいニュースなんか何もないし、積み残した攻略をやろうとか、闇に埋もれているグッツを発掘しようとか、後ろ向きなネタしかないのが現状。真っ当な感覚の人なら、多分、こんな事やっていられるものじゃないとも思う。

僕、しゅうちゃんがこのサイトでやっていることも、なんだか後ろ向きなことばかりだ。結局の所、プログラムなんてとてもやっていられない（技術面でも、そして何よりも時間的に）ので、新作を作ろうだなんて事はできっこない。結局、出来ることと言えば、グッツの補完とリンクの更新くらい。

自分でも分かっているのだ。これは悲しいことだと。そしてどうにもならないってことも。

先日、日本唯一のPC-Engine系MLが終了するという話を聞いた。PC-FXへの移行に失敗して商業的には大失敗に終わったNECのゲーム文化だが、PC-Engineのユーザーの数やパワーは、PC-FXとは比べ物にならないほどでかいはずだ。しかし、それでも、終わってしまった。

一時は僕も、PC-FX系MLを作ろうだとか想い描いたこともあった（過去に別の方の手によって存在していたのだが、現在は消滅中）しかし、こういう話を聞くと、とてもじゃないけどやってられないなとか思ってしまう。これは現実的な視点からでもあるし、僕の中でも徐々に弱まっている愛を象徴することなのかも知れない。

とにかく、そんなことを考えていると、段々と鬱っぽくなってくる。

時折、うちのサイトの姿勢という物が、世の中のPC-FXファンには嫌われているのではないかと考え込んでしまうことがある。当サイトはお世辞にも「清く正しく」なんて言えない。書いてはいけないことばかり書き散らしているし、読む人を不快にするような文体で書きすぎている。ノリが極めて内輪的で、正常なベクトルではないことは確かなのだ。

そんなことは、言われなくても分かっている。自分で書きながら、こんな風に思われているんだろうなと想像出来てしまうから。だけど、やめられない。ほとんど、ある種の麻薬的な魅力にとりつかれていて、人に嫌われることを快感と思う自分が、心のどこかに歴然として存在しているのだ。

しかし、こんな事を考えること自体が、あまりにも悲しすぎる。

僕は今、物語を生み出すことを生業としている。それは小説の形を取ったり、マンガの形を取ったり、ゲームの形を取ったり... とにかく色々な形で存在しているのだが、それらは全て、自分の心の中をさらけ出すことで構成されている。

このサイトでも、思い切って僕の全てをさらけ出すくらいのつもりで、心で想い描いていることを全て書いてやろうかと考えることも、時たまある。だけどそれでは、どこにベクトルがあるのだか訳が分からないサイトになってしまい、瞬く間に自己崩壊をしてしまうであろう。

だから、このサイトでは瞬間的な魂のパワーだけをテキストにぶつけることにしている。良い意味であれ悪い意味であれ、それがユーザーから見て、一番面白い。面白ければ、自然と知名度も上がってくる。そしてPC-FXに愛を感じない人でも、興味を持って読んでもらえるようになる。そんな、極めてピュアではない戦略によって、このサイトは存在している。

しかし、それでも僕にとってのPC-FXは、極めてピュアな存在であり、偉大な存在であり、目指すべき道を見せてくれた存在だ。その究極を考えると「心に残る物を作っていた」ということにあると思う。

僕は物書きであるから、誰かの心に残る物を書きたいという希望を常に抱いている。そして受け手側の喜びが、僕自身の満足に直結している。自分が書きたかった物で喜んでもらえれば、なおさらである。

PC-FXは決して広い世界ではなかった。たったの30万しか世界がなかった、ちっぽけどころではない、宇宙における地球みたいな存在である。だけど、その小さな世界の中でも、確実にユーザーの心をつかんでいた。その力の強さは、他の世界では成しえなかったほどに、圧倒的な強さがあったであろうと、僕は信じている。そしてそれは、目指すべき究極だ。

心を人に伝えることは極めて難しいことである。しかし、だからこそ、それに成功したときの喜びは大きい。僕は今、PC-FXに夢を乗せた人々の仕事を感じながら、いつかきっと、それを越えてやるんだと、おおそれた事を想い描いている。

だけど、夢は夢じゃない。未来は果てしない。そう、FutureなXの世界は確実に存在しえる。だから、僕は生きていけるのだ。