さて、巷では非常に有名...もしかしたらPC-FX本体より普及度が高いかも知れないという(^^; PC-FXGA(98) という奴があります。このページをご覧の方ならご存じでしょうが、このボードは、PC-98 の拡張スロットに搭載することによって、PC-98上で PC-FX のゲームをプレイすることが出来るようになり、さらにはプログラミングや3D開発も可能になるという代物です。 しかしそのボードには、実は前身になる物が存在しました。それがこのページで比較対照とする、FX-98IF という奴です。このボードは PC-FX本体とほぼ同時期に発売され(もしかしたら違う?) PC-98 CanBe に搭載することによって、CanBe上で PC-FX のゲームを楽しむことが出きるようになるというボードです。
しかし対象機種が PC-98 CanBe に限定されているし、3D機能などもなく、単に PC-FX のゲームが出来ると言うだけのボード、しかもマシンに初期搭載されるという戦略もなかったわけで、全く売れなかったことは想像するまでもなかったようです(^^;; そんなわけで現在では極めて入手困難なボードなのですが、先日、YahooAuctionにて入手しましたので、ここで比較研究を行ってみます。
まずはパッケージの比較です。どちらもほぼ同じような大きさの箱に入っており、ぱっと見ただけでは両者にどのような機能の差があるのか分からない感じになっております。箱の大きさとしては、FX-98IF の方がやや高さが低い箱になっていますが、コレは、PC-FXGA(98) には CD-ROM 等が添付されているためかと思われます。 パッケージをいろいろ見てみますと、気になる点が数カ所出てきます。まず PC-FXGA とか FX-98IF とかでっかく書かれている左側なのですが、ここにこの商品を英語で説明している文章があります。ここを読んでみますと PC-FXGA:GAME ACCELERATOR BOARD FOR PC-9800 SERIES FX-98IF:MULTIMEDIA ENTERTAINMENT FOR PC-9800 SERIES となっております。両者の機能の差を考えてみると、PC-FXGA の方の説明は納得が行くのですが、FX-98IF の方の「MultiMedia」という語句が実に妖しくなってきます:-) どうやら PhotoCD 機能をマルチメディア呼ばわりしているらしいですね(^^;; いやぁ、実に牧歌的でよい感じです(笑 他にも箱の色だけで分かるのですが、FX-98IF はあくまで PC-FX の関連商品としての位置づけが行われているのに対して、PC-FXGA はそこからさらに踏み込んだ商品にしようという意志が伺われます。というか FX-98IF の用に白いパッケージだと、まるで PC-FX 本体のオプション機器のような印象を持ってしまいます:-)
箱の中身を開けてみると、添付品はそれほど変わっていないことが分かります。PC-FXGA には CD-ROM が数枚添付されているというだけの違いです。しかし気になるのが、FX-98IF には 5inchFloppy での DriverDisk が添付されていること。はて、CanBe に 5inchFDD モデルって存在したのですか?(汗 その他、パッドとかケーブルとか、例のでかいACアダプターとかは全て同一の物となっています。さすがに PC-E 時代のようにほとんどの機種で互換性がないアダプターとかいう状況は止めたようですね(^^;;
次にボード自体の比較を行ってみましょう。ぱっと目に付くのが、PC-FXGA に付いているでかい放熱版(?)らしき物が、FX-98IF には付いていないことでしょうか。チップなどを細かく見ていないので何とも言えないのですが、FX-98IF 側には 3D機能が無いことを考えてみると、この放熱版の下には 3D 機能を司るチップがあるのでしょう。実際、どれくらい熱を発する物なのかは知りませんけど(^^;; 2層構造になっているのは両者とも変わりがありません。しかしじっくり見てみると、やはり違いが色々と出てきます。まず FX-98IF 、なにやら下のボードの方に、ボタン型電池のような物が見えます。どうやらこれ、バックアップメモリの保持用の電池のようです(^^; PC-FXGA ではバックアップメモリの内容を FDD/HDD 側に保存するのに対して、FX-98IF ではボード上にそれを保存する仕組みのようです。通なユーザーならお分かりのように、これではパソコン上で PC-FX ゲーを動かすメリットが全くなくなってしまいます。NEC-HE側からしては、単にコスト削減のために PC-FXGA ではバックアップメモリをパソコン側に待避させただけなのでしょうけど... PC-FXGA の方がパソコンとの接点部分が、接続される端子数が多いように見えますが、コレは恐らく 3D機能に関する部分なのでしょう。またはバックアップメモリに関する部分か... そう考えると、PC-FXGA と FX-98IF でACアダプターが同じ電圧ではおかしいということになるのですが、果たしてどちらがおかしいのでしょう?(^^;;
次にボードの横から分析をしてみましょう。最初、こんな物は比較するまでもないと思っていたのですが... なんと、FX-98IF にはS端子コネクターが存在しません。これは目を疑いました。なにせ PC-FX 本体ですらS端子コネクターが存在するのですから。どうやらこれは、FX-98IF が CanBe 専用となっていることに合わせているようです(^^;; S端子がないから CanBe 専用と言い切るその発想には驚くばかりです:-) 実際問題として、この両者とも、まともな PC-98 シリーズの C-Bus 搭載モデルなら動くのですが... Epson機でも動くとの報告もありますし。
いろいろと外見と説明書だけで比較研究を行ってみましたが、実はコレを書いた僕は、PC-98マシンを持っておりません(^^; よって動作確認等までには踏み込んだ解説は行えないのですが... それでもあっという間に分かってしまう両者の差。PC-FXGA が未だに人々を魅了してやまないボードなのに対して、FX-98IF は本当に使えないボードのようです:-) 少なくとも、FX-98IF をさっさと見限って PC-FXGA をリリースした NEC-HE の判断だけは正しかったようです(笑 |